YosibeiのB席

世の中には著名団体の来日公演でS席しか行かない、という方もいるでしょう。でもワタシは、今日も当たりを求めてごく普通の定期に向かいます。なお、コメント/トラックバックを可能にしました。

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マルケ王の悲哀-あるいは「トリスタンとイゾルデ」

 
昔から偏った音楽の趣味をしているのは自覚していますが
「トリスタンとイゾルデ」は
若い頃から最も聴きこんできたオペラのひとつです。

ですが大学生のころ、同じくこの曲を聴きこんでいた友人とは
「2幕は昼と夜がどうのこうのが長すぎる」とか
「マルケ王も長すぎるからさっさと引っ込めばいいのに」
と二人とも言いたい放題で、全3幕のうち第1幕を特に愛聴していました。
そんな曲ですが、ワタシの秋シーズン開幕は
「オーケストラル・オペラ VII」で飯守泰次郎=東京シティフィル。
実に聴き初めて四半世紀、この曲の実演に初めて立ち会いました。

奇を衒ったことのない前奏曲に続き、第1幕。
ブランゲーネとイゾルデは十分声も届き、いい立ち上がり。
トリスタンとクルヴェナールの男声二人は
日本人歌手らしくヴィブラートが気になり、ややキンキン響きます。
飯守の音楽づくりは、意外にもたれない雄弁なもので
もっとうまいオーケストラは日本にもありますが、必要にして十分。

2幕の「昼と夜がどうのこうの」(笑)はともかく
これまで冗長に感じたマルケ王のモノローグが素晴らしくて。
王らしい威厳を感じる深みのある声で、
実演に接する悦びはこういうところにあるのかも。
自分自身が年齢を重ね、
オクタヴィアンよりも元帥夫人に感情移入するようになったように
若い二人に裏切られつつ見守るマルケ王に、
よりシンパシーを感じるとはワタシも歳を取ったのだ、と妙な感慨を持ちました。
これが伏線になったか
"Wohin nun Tristan scheidet, willst du, Isold', ihm folgen?"
(トリスタンの行くところ、あなたも付いていきますか?)
とトリスタンが歌うところで落涙。
デブの汗っかきらしく時折汗拭きタオルを使っていたのですが
隣席の若い女性に気付かれないよう、
ここからは終演まで汗でないものを拭くこと数度^^;。

3幕までは音楽にきちんと寄り添っていた舞台後方の映像が
違和感を感じる若い男や胎児の画像になったり、
男声主従に聴き取れないところがあったりして
健闘は認めても大感動とはいきませんでしたが
ここでもマルケ王の小鉄は素晴らしく、悲哀が胸に迫りました。
「愛の死」をきちんと頂点にできる緑川の歌唱、相変わらず良いです。

こういう曲では、キラ星のごとき世紀の大歌手達の録音を
基準にしている聴き手がそもそも問題なのかも。
もっと安い値段で、日常的に上演に接することができれば
見方が違ってくるのでしょうけれど、ね。


【R.ヴァーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」】
23日午後2時開演、於:ティアラこうとう
○キャスト○
トリスタン:成田 勝美
マルケ王:小鉄 和広
イゾルデ:緑川 まり
クルヴェナール:島村 武男
メロート:青 素晴
ブランゲーネ:福原 寿美枝
羊飼い:近藤 政伸
舵手:須藤 慎吾
若い水夫の声:村上 公太
合唱:東京オペラシンガーズ
  1. 2008/09/24(水) 13:40:00|
  2. 音楽
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